AI(人工知能)は、機械が学習や推論を行う能力を持つ技術として知られています。
私たちの日常の多くの場面で活用が進むこの技術は、近年、その進化を続けています。先端のAI技術である「ChatGPT」をレシピ開発に組み込む新しい挑戦の中で、意外な落とし穴を発見しました。ChatGPT活用における落とし穴と現時点でのレシピ開発における有効な活用方法をご紹介します。
1. AI技術の進化と私たちの挑戦
近年のAI技術の進化は驚異的であり、多岐にわたる業界での応用が進んでいます。私達の主たるサービスであるレシピ開発の分野において、生成AIのツールである、ChatGPTという先進的なAIツールの導入に挑戦してみました。
2. ChatGPTの驚異的な能力
ChatGPTは瞬時に多くのレシピ案を提示でき、その原材料や配合、調理方法まで詳細に提示してくれます。このスピードと多様性は非常に魅力的です。50個のレシピ案を1分で提示し、配合や調理方法までわかりやすく提示してくれるのです。画面から出力されるレシピに圧倒されました。
3. 問題発生:おいしくないレシピも混在
ChatGPTの提示したレシピを試作したところ、シンプルな調理工程のレシピは美味しく作ることができました。しかしながら、少し工夫が必要なレシピになると、おいしくないレシピが数多く出てきました。特に「薄味」と感じるものが多かったのです。
4. 問題の解明:単位換算の違い
おいしくないレシピを検証すると、ある共通性が見えてきました。それが「1カップ」という表現を使用しているものでした。
私達も海外のレシピを日本仕様にする際に最も留意する部分がこの単位換算の部分、単位が国によって異なるのです。
アメリカと日本での「1カップ」の容量が異なり、アメリカであれば235ミリリットル、日本であれば200ミリリットルという違いがあるため、この換算が適切に行われないと、レシピの味に大きな影響を及ぼします。

5. 現在のChatGPTの限界
ChatGPTは各国の固有の情報を取り込んでレシピ案を提示する能力がある一方、実際の単位換算の細かいニュアンスに対応するのは難しく、それがレシピの完成度に影響を及ぼすことが明らかになりました。特に異国のレシピを取り入れる際、正確な単位換算はキーとなる要素であり、この点においてAIの現状の限界を感じざるを得ませんでした。
6. レシピ開発におけるChatGPT活用の有益な部分
私たちの通常のレシピ開発プロセスは「レシピ案検討→レシピ初版作成→試作→レシピ最終化」という手順を経ています。
この中で「レシピ案検討」の段階にChatGPTを導入することにより、さまざまなアイデアを瞬時に取得することができます。
このスピード感と多様性は非常に有益です。ただし、試作や最終調整の段階においては、人間の経験や感性が欠かせないことも実感しました。
7. AIと人間の協働の重要性
ChatGPTの力は確かに大きいですが、最終的なレシピの完成には人間の感性や経験が必要不可欠です。
AI技術と人の経験をうまく融合させ、更なる高品質なレシピを生み出す方向を探求していきます。
7. まとめと展望
AIの進化とともに私たちの業界も変わっていくでしょう。しかし、この変化の中で人の経験や感性が持つ価値は変わらないことを再認識しました。
AIが得意とする部分、人間が担うべき部分を意識しながら、更なる業務の革新・レシピ開発を追求していきます。
レシピ開発のご依頼・ご相談
弊社ではグローバルでレシピ開発を手掛けています。主に業務用食品メーカー様のレシピを中心に、年間で数千件手掛けています。
レシピ開発については株式会社Paysanneまでお問い合わせください。
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ChatGPT
生成AIのサービスである、ChatGPT、無料で使うことも可能です。有料になると、無料版と比べてより高速かつ複雑な質問にも回答してくれます。
2023年8月現在、月額20ドルです。
また、2023年5月より、スマートフォンの公式アプリも登場しました。音声での入力もできるようになり、私たちも多様しています。
株式会社Paysanne
レシピ開発サービスを手掛ける株式会社Paysanneは本サイト、FOODISTAの運営元でもあります。大手食品メーカーのレシピ開発を中心に、世界中で数多くのレシピ開発を手掛けています。レシピ開発などのお問い合わせは本サイトのお問い合わせページからも承ってます。